新庄ビッグボスの厳しい指導

新庄剛志ビッグボスが監督に就任したことで、北海道日本ハムファイターズがガンガンとテコ入れされている。

時には選手に対し、公開で厳しいダメ出しをして、それがまた話題になっているわけだが、「それってちょっとやりすぎなんじゃないの?」「パワハラなのでは?」という心配の声もある。

特に就任後は派手なパフォーマンスも多く、それが毎回ニュースになってしまうため、悪目立ちしてしまう部分もあるのだろう。

たしかに、公の場でダメ出しは指導する上でよろしくないと言われている。社会人として、それは相手の立場を考えていないとされるからだ。

しかし新庄剛志は、ビッグボスというキャラを立たせたうえで敢えてそれをやっているところがある。

さて、その理由とは何なのだろうか?

今回は新庄剛志ビッグボスが選手に厳しい指導をする真意について、色んな角度から探ってみたいと思う。

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新庄監督のダメ出しがパワハラで厳しすぎる?

新庄剛志が日ハム(北海道日本ハムファイターズ)の監督に就任し、すでにその指導が注目を集めている。

特に話題になっているのが、選手たちへの公開ダメ出しだろう。

たとえば、インタビューを受ける時に「そうですね」という言葉を使うことを禁止したり、「アピールできない新人選手は1年間2軍ですね」と言ってみたり、こういったことを公の場で選手たちに説く。

それがまたニュースになって、中にはその指導が「厳しい」とか「パワハラじゃん」という心配の声もある。

他にも清宮選手に向かって「デブじゃね?」と言った話も有名だ。

また五十幡選手に対し「プロとしていくら足が速くたって、ケガをしてしまったら一般人やからね。意味ないのよ。そういう選手はいらないよね」と言った話もニュースになったが、そこだけ切り取るとまったくデリカシーのない人間のような印象しか残らない。

実際にそのやり取りを見てみると、新庄ビッグボスの伝え方に裏表のない柔らかさがあるので嫌な感じはしないのだが、文字面だけを見ると何やら厳しく見えてしまう部分はある。

それに「もし自分がそう言われる立場だったら…」と考えて、反発心を湧き上がらせてしまうところもあるかもしれない。

わかりやすい例でいうと、「インタビューに『そうですね』と言ってはいけないことなんて、別に野球の腕前とは関係ないんじゃないの?」と思うようなイメージだ。

そういうところを『厳しい』と思って批判したくなる人がいても、まったく理解できないわけではない。

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チーム強化もビッグボス流

北海道日本ハムファイターズは現在、3年連続『5位』という成績で低迷している。

このチームをもう一度優勝に導くには、抜本的な改革が必要なことは明白だ。

その抜本的な改革の軸となるのが正にビッグボスこと新庄剛志監督なわけだが、派手なパフォーマンスを含めても、実はチームを強くするために色んな改革を行っていることが見て取れる。

ポイントは『ファンを巻き込んでチームを活性化させる』というところ。

通常、チームが強くなればファンも増えて、それが相乗効果となってさらにチームが強くなっていくと考える。

しかし新庄ビッグボスの場合、まずはファンや観客の注目を集めて、選手が活躍せざるを得ない場面を作る。そうやって実際に選手の集中力を引き出すことで、実際に活躍してもらい、ファンと一緒にチームを盛り上げていこうと考える。

これは新庄剛志が現役時代から意識していたことだ。

僕が入ったばかりの日本ハムは、ファンの少ない地味なチームだった。成績もたいていBクラス。このチームを日本一にするにはエネルギーがいる。それも、とてつもないエネルギーが。それはぼくひとりで生み出せるようなものじゃない。チームのみんなの力でも難しい。それならファンの力を借りるしかない! そう思ったんだ。

引用元「もう一度、プロ野球選手になる。 新庄剛志著」

 

特に2020-21年は新型伝染病のためにプロ野球界への客足は減ってしまった。今、多くの日本のプロ野球ファンが野球ももっと楽しみたいと思っているし、皆、何かデカいことをやってくれる監督・選手を求めている。

つまり、監督としての新庄剛志は頭の中で「この逆境をプラスに変えるチームを作れたら絶対に面白い」と考えているに違いないというわけだ。

だが、そのニーズに対して監督一人が応えていても、やがて限界がくる。だからこそ、選手一人一人がそれに応えられるように、我が身でパフォーマンスを見せることによって自己PRの大切さを指導している部分もあるのだろう。

少なくとも、前期5位のチームがオープン戦から注目されるのだから、選手たちが前向きにならざるを得ないお膳立ては整っている。

  • 太ってたら減量しろ
  • 白髪の人は白髪染めをしろ
  • インタビューで「そうですね」禁止
  • アピールできなければ一軍に上げない
  • 杉谷拳士はリアル野球BAN禁止

などなど、このように野球以外の部分で厳しい部分こそ、今後はチームが優勝するほど前に出てくるために役に立っていくはずだ。

プロ野球選手は、グラウンドで野球をするだけが仕事じゃない。

お立ち台で球場を盛り上げられれば、ファンは帰り道でも家族の時間でも、翌日の会社や学校でも、ぼくのことや試合のことを話題にしてくれるかもしれない。

お立ち台をきっかけにファンになって、球場に足を運んでもらえるかもしれない。

いい決め台詞が言えたら、メディアも取り上げてくれるだろう。

引用元「もう一度、プロ野球選手になる。 新庄剛志著」

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厳しいところがむしろ好意的?

新庄剛志が日ハムの監督となって、実は現役時代は自分にストイックな選手だったことが周知されつつある。

昔は新庄剛志と言えば、『目立ちたがり屋のお調子者』というイメージが強く、あまりそのストイックな部分は語られてこなかった。

特に凄いと思うのは、野球だけでなく、人にどう見られるとファンが喜ぶのかというところまでストイックだったことだ。

それは人間性にも表れていて、新庄が人の悪口は言ってるところは聞いたことがないという関係者の声もあった。

たとえば、ビートたけしにTVタックルで次のように言われたことがある。

「新庄が監督やったって言ったって、その宣伝効果ってのは春で結構あるかもわけらんけど、大谷がメジャーで1本ホームラン打ったら、ほとんどなくなるよ、そんなもん。それまでの命だって」

それに対し、新庄ビッグボスはインスタにて次のように返している。

「僕もそうだと思ってます。しかし少しでもプロ野球が盛り上がるよう、1人でも野球に興味を持ってもらえるように、懸命に努力して行きます」

もし、自分可愛さで派手なパフォーマンスだけをしたいのなら、なかなかこうは返せない。周りへの気遣いまで徹底しているからこそ、これまで実現不可能だと言われてきたことを可能にしてきたのだ。

選手たちへの声掛けや要求は、時として一般人の我々にとって厳しく見えることもある。

しかし、プロアスリートは会社員ではない。結果を出さなければ、明日はどうなるかわからない世界で生きているのだ。厳しい環境に自らを追い込むことは当然のことと言えるだろう。

もちろん、昭和時代にあったような暴力や理不尽な要求を強制するようなパワハラは、令和の時代において通用しないことは言うまでもない。

自分に厳しくなくてはプロの世界で結果は出せない。

そして、人の上に立って厳しくあらねばならない時こそ、その人の器や人間性が問われるものだ。そういう意味において、新庄剛志ビッグボスの裏表のないコミュニケーションはプラスに働くように思える。

プロの世界は厳しいのが当たり前。

ビッグボスのユニークな指導がこれからスタンダードになっていけば、世の中はもっと素敵で明るいものになっていきそうだ。

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